臓器移植知る

臓器提供の種類

臓器移植は、死亡されたドナーから臓器を提供していただく「死体臓器移植」と、生きている健康なドナーから臓器を提供していただく「生体臓器移植」に分かれます(図1)1)
死体臓器移植では、脳死されたドナーから臓器が提供される場合と、心臓が停止した死後のドナーから臓器が提供される場合があります1)

図1. 臓器提供の種類

図1. 臓器提供の種類

脳死下の臓器提供(脳死されたドナーからの臓器提供)1,2)

脳死下の臓器提供では、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、眼球の提供が可能です。
日本では、臓器移植に関する法律である「臓器移植法」が2010年に改正され、臓器提供について本人の意思が不明な場合であっても遺族の承諾があれば臓器提供ができるようになりました。
これに伴い、15歳未満の子どもからの脳死下での臓器提供が可能となり、海外での移植に頼らざるを得なかった小児の患者さんの道が開かれました。

心停止後の臓器提供(心臓が停止した死後のドナーからの臓器提供)2)

心停止後の臓器提供では、腎臓、膵臓、眼球の提供が可能です。
心臓が停止し、血液の流れが止まった心停止後の臓器提供と、人工呼吸器などの助けによってしばらくは心臓を動かし続けることができ、血液の流れが維持される脳死下の臓器提供では、提供できる臓器に違いがあります。
腎臓、膵臓、眼球は、心停止により血液の流れが止まった状況で臓器を摘出し、移植後に血液の流れが再開してその機能を発揮できることから、心停止後の臓器提供が可能となっています。

生体ドナーからの臓器提供(生きている健康なドナーからの臓器提供)1)

生体ドナーは、原則的に親族に限定されます(図2)。
また、親族に該当しなくても事実婚などで可能な場合もあります。
生体ドナーからの臓器提供では、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸などの部分的な提供(腎臓は2つあるうちの1つの提供)が可能です。
肝臓、腎臓、膵臓、小腸は、生体ドナー1人からの提供によることが多いです。
肺は多くの場合、生体ドナー2人からの提供が必要となります。
なお、生体ドナーからの膵臓の提供は、現在ほとんど行われていません。

図2. 生体ドナーとなれる親族の範囲1)

図2. 生体ドナーとなれる親族の範囲

( )内の数字は親等数

一般社団法人 日本移植学会ホームページ_一般の方.http://www.asas.or.jp/jst/general/(2024年5月1日アクセス)より改変

出典

  • 1)一般社団法人 日本移植学会ホームページ_一般の方.http://www.asas.or.jp/jst/general/(2024年5月1日アクセス)
  • 2)公益社団法人 日本臓器移植ネットワークホームページ.https://www.jotnw.or.jp(2024年5月1日アクセス)

監修:石田 英樹先生 東京女子医科大学病院 移植管理科 泌尿器科 教授