臓器移植を知る
ヘルペスウイルスには、単純へルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)と水痘・帯状庖疹ウイルス(varicella zoster virus:VZV)があり、いずれも一度感染すると生涯にわたり潜伏感染※1します1)。
臓器移植後のHSV感染症の多くは、潜伏しているウイルスの再活性化によって起こるとされています2)。
また、臓器移植後のVZV感染症は、ドナー(臓器を提供する人)とレシピエント(臓器提供を受ける人)の組み合わせが、VZV抗体陽性ドナーとVZV抗体陰性レシピエントであった場合に発症リスクが高くなるとされています2)。
HSV感染症は移植後1カ月以内に、VZV感染症は移植後1〜6カ月と移植後6カ月以降に起こりやすいとされています。
移植後のHSV感染症では、唇やその周囲、口の中、陰部などに皮膚病変(小さな水ぶくれ、ただれなど)が現れます。
移植後のVZV感染症では、皮膚病変(帯状の赤い湿疹や小さな水ぶくれ)と痛みや違和感、かゆみなどが典型的な症状ですが、急激な腹痛や肝障害に伴う症状などが現れる場合もあります。
HSV感染症とVZV感染症の治療では、抗ウイルス薬が使用されます。
監修:石田 英樹先生 東京女子医科大学病院 移植管理科 泌尿器科 教授