臓器移植を知る
臓器移植では、心臓、肺、肝臓、膵臓、腎臓、小腸の移植が一般的に行われています1)。
これらの臓器の日本における移植実施数は、腎臓が最も多く、肝臓、肺、心臓、膵臓、小腸の順となっています(図)1)。
また、心臓と肺、膵臓と腎臓、肝臓と腎臓、肝臓と小腸など、2つ以上の臓器を同時に移植する必要がある場合もあります1)。
臓器移植の対象となる人は、臓器を移植する以外に有効な治療法がない人です。
また、臓器ごとに決められた条件などを満たす場合に、臓器移植を受けることが可能となります。
臓器移植の対象となる臓器別の主な条件と病気は、次のとおりです(表)。
状態 | 年齢 | 病気 | |
---|---|---|---|
心臓移植 | 十分な治療を行っても改善しない重症心不全(心臓の機能が極めて悪くなった状態)で、治ることが期待できない末期的な状態にある | 65歳未満が望ましい | 原発性の心筋症(心臓の筋肉の病気)、心筋梗塞 など |
肺移植 | 十分な治療を行っても改善しない進行した肺の病気で、余命が限られた状態にある | 両方の肺を移植する場合 は55 歳未満、片方の肺を移植する場合は60 歳未満 | 肺高血圧症※1、間質性肺炎※2、肺気腫※3、造血幹細胞移植又は肺移植手術後に起こる肺の病気など |
肝臓移植 | 緊急に肝移植を必要とする肝臓の病気、又は十分な治療を行っても改善しない進行した肝臓の病気で、余命が限られた状態にある | 脳死下の臓器提供による移植の場合は65歳まで、生体ドナーからの臓器提供による移植の場合は施設ごとに異なる | 急性肝不全・劇症肝炎※4、肝硬変※5、肝細胞がんなど |
膵臓移植 | 腎不全(腎臓の機能が低下した状態)に陥った糖尿病患者である、又は専門医による治療を受けても血糖コントロールが困難な1型糖尿病※6患者 | 60 歳以下が望ましい | 1型糖尿病※6など |
腎臓移植 | 腎臓の機能が低下し、透析を続けなければ生命維持が困難である、又は近い将来に透析を導入する必要に迫られている状態 | 明確な制限はない | 末期腎不全※7など |
小腸移植 | 腸管不全(小腸の機能が不十分な状態)で、生命維持に必要な中心静脈栄養※8の継続が合併症などを理由に困難な状態 | 65歳以下が望ましい | 短腸症※9、機能的難治性小腸不全※10など |
監修:石田 英樹先生 東京女子医科大学病院 移植管理科 泌尿器科 教授