アラジール症候群とはアラジール症候群の
症状・合併症
アラジール症候群の主な症状は肝臓の障害で、患者さんによっては心臓や血管の障害、骨の異常、眼の異常などもあらわれます。また、顔立ちに特徴があらわれることもありますが、日本人ではあまりみられません。そのほか、腎臓の障害、強い皮膚のかゆみを持つこともあります。また皮膚に脂肪成分が蓄積することで黄色腫と呼ばれる小さいこぶ(腫瘤)が生じる場合もあります1-3)。

肝臓に関連した症状1-3)

アラジール症候群では胆汁の通り道がうまくつくられないことで胆汁が肝臓の中にたまり、それによりさまざまな症状があらわれます。
まず、胆汁がたまると、「黄疸」といって皮膚や白眼が黄色みがかったようになります。加えて、ほとんどの患者さんにかゆみがあらわれます。
胆汁がたまったままの状態が続くと、肝硬変や肝不全になることもあり、肝移植が必要となってしまうこともあります。
心臓や血管に
関連した症状1-3)

アラジール症候群では血管が狭くなる、こぶ(動脈瘤)ができるといった症状がみられます。この症状は、主に脳、腎臓、肺の血管にみられます。特に、肺の動脈が狭くなることが多いです。また、生まれつき心臓の血管や弁がうまくつくられず、心臓の障害が出ることもあります。
アラジール症候群の患者さんの場合、これらの心臓の症状や障害が死亡の主な原因となるといわれています。
腎臓に関連した症状1-3)
アラジール症候群では生まれつき腎臓の形がうまくつくられず、それによって腎臓がうまくはたらかないことで、腎不全などの腎臓の障害があらわれます。症状が重度の場合には、腎移植が必要になることもあります。
顔や骨格への影響1-3)
アラジール症候群では顔に特徴があらわれることがあり、主な特徴として幅の広い額、深くくぼんだ眼、尖った顎などがあります。顔の特徴は民族に関係しているともいわれており、日本人ではあまりみられません。また、背骨に異常が見つかることが多いことも、特徴的です。
そのほか、胆汁が肝臓内にたまってしまうことにより、ビタミンA・D・E・Kが吸収されにくく、不足してしまいます。特にビタミンDが足りなくなった場合、骨の発達障害があらわれることがあります。また、骨折が起こりやすくなります。
眼の症状1-3)

アラジール症候群では眼の異常もよくみられますが、特に角膜のふちに輪状の白濁があらわれる症状がよくみられます。しかし、これによる視力への影響はないとされています。
そのほかにも、角膜に余分な物質が沈着してしまう、視神経に異常があらわれることがあります。
その他の症状1-3)
そのほかにも、アラジール症候群では免疫機能がうまくはたらかない、知能障害があらわれるなど、さまざまな症状に悩まれる場合もあります。
1)Kamath BM, et al. Alagille Syndrome: Pathogenesis and
Clinical Management. Springer, 2018.
2)厚生労働省. 297 アラジール症候群.(https://
www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000079293.html
[外部サイトに移動します])
(2024年7月閲覧)
3)Spinner NB, et al. GeneReviews®. Alagille Syndrome.
2000[Updated2024]